PROJECT STORYプロジェクトストーリー

PROJECT STORY01

新宿ミロードフィナーレキャンペーン

当社初の閉館プロジェクトに挑んだ3人
幅広い世代の共感を呼んだキャンペーンに込めた想いとは?

プロジェクトの概要:2025年3月16日、新宿ミロードは新宿西口エリアの再開発という次のステージへ進むため、40年の歴史に幕を下ろしました。1984年の開業以来、10~20代女性をターゲットとしたファッションやレストランフロアを展開し、時代を生きる女性たちの「好き」を応援し続けてきました。お客さまへの感謝を込めた「新宿ミロードフィナーレキャンペーン」は、閉館の約半年前からスタート。当社設立(2020年)以降、初の閉館に伴うプロジェクトに挑んだ加賀さん、大谷さん、早坂さんの3名に、プロジェクトにかけた想いを伺いました。

プロジェクトメンバーPROJECT MEMBER

  • 加賀 正輝

    当時の所属/
    新宿ミロード 副支配人
    プロジェクトでの役割/
    全体統括

  • 大谷 実菜

    当時の所属/
    新宿ミロード 販促担当
    プロジェクトでの役割/
    プロジェクトリーダー

  • 早坂 遥奈

    当時の所属/
    新宿ミロード 営業担当
    プロジェクトでの役割/
    ES、SNS担当

従来とは異なる、前向きな閉館キャンペーン。
時間をかけて「新宿ミロードらしさ」を伝える。

【加賀】「商業施設の閉館」と聞くと、業績不振の印象を持たれがちです。しかし新宿ミロードの場合は再開発による閉館であり、業績は好調の中での決断でした。その点を誤解なくしっかりと伝え、「在庫処分」「売りつくし」といった従来の閉館キャンペーンとは一線を画したいという考えから、早めにプロジェクトをスタートする必要性を感じていました。キャンペーン期間は2024年10月4日〜2025年3月16日ですが、プロジェクトが始動したのは2023年4月、ちょうど大谷さんが新宿ミロードに配属になった頃だったよね。

【大谷】そうです。入社前から新宿ミロードで買い物をしていたので、閉館プロジェクトに携われることに「ありがたい」という気持ちでした。実際にプロジェクトがスタートすると不安だらけでしたが、まず加賀さんとプロジェクトの軸となるコンセプトを考えました。新宿ミロードの40年を象徴する、「明るく」「楽しく」「等身大」といった、ぶれないキーワードがあったので、そこから「新宿ミロードらしく、明るく前向きに終えること」に決まりました。

【早坂】私も入社前から新宿ミロードのファンだったので、2023年に入社してすぐにこのプロジェクトに携われることが嬉しかったです。ショップのみなさんにご協力いただく業務も多くありましたが、新宿ミロードにぴったりなコンセプトだったので、お伝えしやすかったです。

【加賀】早坂さんは入社1年目でしたが、お客さまやショップスタッフに一番近い世代。SNSでどんな表現が響くかを知っている人に担当してもらうのがよいと思い、SNS担当をお願いしました。

スマホ世代に閉館を伝えるために制作。
等身大の女性たちを描いたオリジナルムービー。

【加賀】早坂さんと同世代のお客さまが、ニュースリリースという堅いメディアを通じて閉館を知るとは思えないので、スマホから情報を得る世代にどうリーチするかが課題にあがりました。また、新宿ミロードは40年という歴史の中で多くの方が関わってきました。20代の頃に新宿で買い物を楽しんでいた方の中には、今は東京を離れて暮らしている方もいる。そうした既存顧客と旧顧客のそれぞれに対して、別々のアプローチを取る必要がありました。まずは閉館を伝えるツールとして、フィナーレムービーを制作することになりましたが、我々の思いをどう表現するかにかなり苦戦しましたね。

【大谷】閉館をお伝えする最初のツールですし、キャンペーンの半年間を象徴するものになるので、納得できる表現にたどり着くまで試行錯誤を繰り返しました。制作会社とのオリエンでは、新宿ミロードを主語にするのではなく、「お客さまを主語にしたい」ということを何度もお伝えし、40年にわたるレディスファッションの変遷をたどりながら、当時の女性たちを後押ししてきたストーリーにしたかったのですが、そこまでの過程はちょっと大変でした。

【加賀】ちょっとどころじゃなかったよ(笑)。メインカラーにビビットなピンクを使うことはすぐに決まりましたが、まずは自然に動画に見入ってしまい、最後に閉館のお知らせが出てくる。「えっ」という衝撃とともに拡散されるオリジナルムービーにしたかったんです。特にファッションの年代考証やメッセージには妥協したくなかったので、納得ができるまで細部にもこだわり抜きました。当時の上司も我々の思いを信じて見守ってくれるような職場環境であったおかげで、最高の仕上がりになりました。

【早坂】1984年の女性を見て、母が「懐かしい〜」と話していました。その時代ごとに好きを楽しむキラキラした女性たちの姿や、トレンドが変わっても自分の好きに正直にいてほしいというメッセージが込められていましたよね。ムービーを公開すると、びっくりするくらい反響がありました。「好きに生きてこ、これからも。」というメッセージへの共感からSNSでどんどん拡散され、様々な層に情報が伝わっていったのを実感しました。

閉館前最後のプロモーション。
関わった「みんなとともに」フィナーレを迎える。

【大谷】多くの人が関わるプロジェクトで、さまざまな調整をしながらスケジュール通りに進行させなくてはいけないので、大変だったことを思い出してきました(笑)。あれもこれもやりたいという気持ちと、予算の制約の中でいかに効果を出すか、そのバランスを考える難しさがありました。プロジェクトで一番悩んだのが、新宿ミロード最後のビジュアル「卒業おめでとう、わたしたち。」の展開方法でした。フィナーレムービーやそれまでのキャンペーンで閉館を知った方もいれば、情報がまだまだ到達していない層もいると感じていたので、その方たちにも確実に伝えるために、どうしても新聞広告を出したいと思いました。予算内に収まるか判断が難しい時期ではありましたが、「気づいたらミロードがなくなっていた…」というお客さまを一人でも減らしたいという思いで決断しました。

【加賀】閉館が3月だったので、桜をモチーフに「卒業おめでとう、わたしたち。」のメッセージからはじまる広告にしました。40年間でさまざまな制作物を生み出してきた新宿ミロードの最後の作品であり、プロジェクトの集大成にもなる。お客さまに当社の想いを伝える内容にしたいと、句読点の位置にもこだわりました。

【大谷】そうした想いは、広告だけでなく館内の空間づくりも同じでした。広告を見て来館してくださるお客さまが、青春時代の良い思い出に浸れるような空間にしたい、と考えていました。そこで、来館いただいた際に店舗に商品が不足する状況を避け、最後の瞬間まで新宿ミロードらしい楽しいお買い物体験を満喫していただくことを目指しました。その実現のため、まずショップの皆さまには、在庫確保やスタッフ体制の強化をお願いし、私たち館側は、ポイント還元などの販促施策を中心に販売環境をしっかりと準備しました。さらに、「売りつくし」といった表現を控えていただくよう全館で徹底し、閉館の瞬間までお買い物を楽しんでいただける空間づくりに取り組みました。時間をかけて伝えてきたコンセプトをショップのみなさんと共有し、一体感のあるフィナーレを迎えられたことにはとても達成感がありました。

【早坂】SNS担当としても、閉館直前の1週間前にどのような発信をするかが一番悩みました。単なるセール情報では、お客さまの心に残りません。かといって、しんみりし過ぎても新宿ミロードらしくない。お客さまにとって価値のある情報とは何かを自分なりに考え、商品紹介ではなくショップのみなさんにメッセージボードを持って登場してもらうアイデアを提案しました。多くのショップ様にご協力いただいたのですが、自分が思い描いた、親しみやすく温かみのある発信になり、反響も大きく嬉しかったです。

プロジェクトを卒業して。
成長を実感した3人が描く次の目標。

【早坂】入社1年目で社会人経験の浅い時期から、このような大きなプロジェクトに参加できたことは貴重な経験でした。SNS担当として、レピュテーションリスクのために避ける投稿という最低限のルールはありましたが、基本的には自由にやらせていただきました。投稿前には、期待される効果を自分なりに整理するクセがつき、協力会社やショップとのやりとりを通じて調整力も鍛えられました。今回の経験を今後の業務に活かしていきたいですし、いつか再開発後に誕生する新しい施設へも携わりたいと思っています。

【大谷】当社でまだ誰も経験したことのないビッグプロジェクトに携わることができ、納得のいく成果を出せたことは自信につながりました。特にチームで目的を共有し、切磋琢磨しながらゴールを目指す経験は得難いものでした。まだマネジメントを担う立場ではありませんが、今回のように、みんなが主体的に動けるチームをつくれる人間になりたいという目標ができました。

【加賀】私が仕事で大切にしているのは、自分なりの付加価値をつけることです。結果となる成果物はもちろん大切ですが、苦労しながら進めていく過程にこそ、自分の成長があると信じています。こうした思いから、若手にも裁量を与え、自分たちで考えて動く機会を設けたい。今回のプロジェクトは、常々思っていることの集大成でもありました。会社は、自分で考えて挑戦することができる場だと思います。当社はまさに、自分で考えて挑戦することを応援する風土があると実感しています。現在、再開発に向けた企画を担当していますが、このプロジェクトに関わったすべての方の想いを継承し、今まで以上に新しい価値を創造して、お客さまと地域がつながる「楽しい空間」を創りたいです。

※インタビュー内容は取材当時のものです。

PROJECT STORY02

フラッグスリニューアル

『Flags』を次世代につながる独自のカルチャーの発信地に。
一大リニューアルに取り組んだ3人の苦労や喜びとは?

プロジェクトの概要:2022年冬、新宿駅東南口の商業施設『Flags(新宿フラッグス)』がリニューアルしました。1998年10月のオープン以来掲げてきた『MUSIC』『FASHION』『SPORTS』というコンセプトは継続しつつ、次世代につながる新たなカルチャーの発信地を目指し、時代のニーズに合わせた先進的なフラッグシップショップを誘致するなど、全館挙げての大規模なリニューアル。この一大プロジェクトに挑んだ3名(中島さん、生水さん、山岸さん)は、どのような想いで取り組み、どんな苦労があったのでしょうか?

プロジェクトメンバーPROJECT MEMBER

  • 中島 郁雄

    新宿南口営業室(Flags)
    プロジェクトでの役割/
    販促・プロモーション担当

  • 生水 愛奈

    新宿南口営業室(Flags)
    プロジェクトでの役割/
    フロアMD担当・契約担当

  • 山岸 雄太

    SC営業部(技術担当)
    プロジェクトでの役割/
    工事・技術担当

新型コロナウイルス感染症の影響で予期せぬ事態に。
ゼロからの再スタート。

【生水】Flagsは1998年のオープン以来多くのお客さまにご利用いただき、売上も順調に推移していました。しかし世の中はECへシフトし、またお客さまの来館目的も開業時と変わってきたことにより、更なる売上獲得が難しい状況が続いておりました。この状況を打開すべく、リニューアルプロジェクトが動き出しました。
リニューアルの話があがったのは2016年頃で、その頃から徐々に計画が進んでいました。しかし2020年、コロナによってその計画が大きく狂うことになりました。来館数が急激に落ち込んだことで、撤退するショップや、売り場面積を減床するショップが出てくるなど、予期せぬ事態が発生したのです。リニューアル工事が始まるのは1年後と決まっている中、ショップの選定から工事施工会社の選定、プロモーションの方法まで、ゼロベースで考えなければならなくなりました。

【山岸】オープン以来初めてのリニューアルであるだけでなく、当社が小田急電鉄から独立して初の大規模リニューアル案件でした。そこで、この機会に協力会社を選定しなおすことにしました。従来はコストや関係性で選んでいましたが、より私たちの想いを実現できる協力会社に出会うため、時間をかけて検討しました。

【中島】販促・プロモーションでお手伝いいただく協力会社については、より多様性に富んだ知識やアイデアが集まるよう、新規開拓を行いました。Flagsは全世界でも有数のターミナルである新宿駅の商業施設でありながらも、これまで一度もリニューアルを行ってきませんでした。都心のこの立地ではなかなかないことです。各協力会社にはそういった背景も含めて私たちの気持ちをぶつけたことにより、これまでとは違った視点での様々な提案をいただくことができました。

一筋縄ではいかない。
現場で起こる様々な出来事に、真摯に向き合う。

【生水】今回のリニューアルを機にFlagsのコンセプトの一部、『FASHION』について変更を加えました。具体的に決めたのは、これまで中心だったセレクトショップに加え、カジュアルファッションの2ブランドの出店です。これまで以上に幅広いお客さまに喜んでいただくため、多様性のある『FASHION』を提供したいという想いをセレクトショップに伝えました。同じ施設内にカジュアルファッションがあることでより集客が見込めること、そして世の中の流れとしてセレクトショップの商品だけでなく、カジュアルファッションの商品も含めて着こなす人が増えていることを丁寧に説明。Flagsに来るだけで1つのコーディネートが完成する。そうなればお客さまは他の施設に行く必要がなく、結果的にFlags内のセレクトショップの売上も上がるのです。ショップ本部へ時間をかけてお話させていただいたことで当社の想いに共感いただき、継続出店を決めていただけました。

【山岸】私は主に工事面の統括を担当したのですが、意外な部分で苦労しました。バックヤード専用のエレベーターが1台しかなく、荷物の搬入とショップスタッフのフロア移動がスムーズにいかなかったのです。もちろん事前に想定した上で工事日程を組んだつもりでしたが、実際に始まってみると施工会社の作業とショップスタッフの移動が重なり「これでは工事スケジュールが間に合わない」ということに。そこで各所にヒアリングを実施した上で『この時間帯は搬入専用、この時間帯はショップスタッフの移動専用』というようにエレベーター使用についての細かい時間割を作り、施工会社、ショップスタッフの皆さんに協力を仰ぎました。おかげで何とか工程通りに進みましたが、十分に計画したつもりでも現場では予測できない事態が発生すると、改めて今回のリニューアルで学びました。

完成後はお客さまからも大好評。
そして、3人は新たな目標へ向かう。

【中島】リニューアル工事は2022年の冬に完了し、Flagsは無事にリニューアルオープンすることができました。これまでの社会人人生の中で記憶に残る仕事のひとつです。リニューアル後の集客は好調で、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年度の実績を上回る結果となっています。新宿は、様々な人たちが集う多様性あふれる“カオス”な街だと思っています。そんな新宿において、Flagsは新宿らしい独自のカルチャーを発信し続ける存在になれればいいなと思っています。

【生水】私も総工費や着手したフロア数、そして新宿という立地も含めて、これまでで一番規模が大きく印象に残る仕事でした。この規模感の仕事を3~4名のチームでやり切ったことも、大きな自信につながりました。このプロジェクトを機に、本格的にまちづくりをしてみたいと思うようになりました。今回のFlagsリニューアルは“ビル”のリニューアルでしたが、今後は近隣にある広場も含めた、より大きな空間づくりに取り組んでみたいです。

【山岸】コロナ禍で投資に慎重な判断が求められる中、年に1回あるかないかの大きさの案件。苦労したり悩んだりすることもたくさんありましたが、終われば必ず経験値になると思い、最後まで踏ん張りました。ただ、工事後に関係者から「もっとこうできたら良かったね」といったアドバイスをいただくこともあり、まだまだ課題はあります。現在も新宿の物件を担当していますが、今後は新宿西口の再開発や新築物件のプロジェクトも手掛けてみたいです。きっと大変だと思いますが、まっさらな状態からまちづくりに取り組む。そういう仕事にチャレンジしたいです。

※所属・役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです。

PROJECT STORY03

おしごと体験イベントプロジェクト

子どもの未来につながる『おしごと体験イベント』を6施設で合同開催。地域共生をカタチにした2人の努力と歓喜に迫る。

プロジェクトの概要:小田急グループが掲げる子育て応援ポリシー「こどもの笑顔は未来を変える。Odakyu パートナー宣言」を具現化する施策として、2022年に小学生を対象にショッピングセンターや駅員の仕事体験ができる「おしごと体験イベント」を開催。小田急沿線の6つのショッピングセンター(経堂コルティ/新百合ヶ丘エルミロード/相模大野ステーションスクエア/ビナウォーク/本厚木ミロード/ODAKYU 湘南 GATE)ならびに対象駅を巻き込み、施設合同の特別企画をやり遂げた2人に、プロジェクトの裏側をお伺いしました。

プロジェクトメンバーPROJECT MEMBER

  • 畔上 雅史

    マーケティング推進部
    プロジェクトでの役割/
    全体統括

  • 菊池 麻子

    本厚木営業室
    (本厚木ミロード 販売促進担当)
    プロジェクトでの役割/
    企画運営

地域共生実現のヒントと課題。全社の目線を合わせてプロジェクトに巻き込む。

【菊池】小田急の商業施設は、地域に根差す商業施設として、「自社が持つ資源を活用した地域共生・社会貢献活動」を通じて、お客さまに、施設への愛着を持っていただく・ファンになっていただくことを目指しています。その中でも本厚木ミロードでは、商業施設を「買い物だけで訪れる場ではなく、まちの人々、特に小さなお子さまを巻き込み、様々な価値ある体験ができる場にしたい。」という想いをカタチにした施策を実施していました。
本厚木ミロードでは2019年に地域の小学生以下の参加者を募り『おしごと体験イベント』を初開催。就労やお金の価値などへの関心・学び、気づきの機会を提供することで、子どもたちの好奇心や感受性を育むという狙いでイベントが開催されました。50名の募集枠に対して600名以上の応募が集まり、以降このイベントは本厚木ミロードの夏休みの人気企画となりました。
「このおしごと体験イベントを全社横断で実現することで、当社が掲げる地域共生の実現に近づくはず。」本社の販売促進担当として立案を始めた頃、この考えに共感してくれたのが、畔上さんです。

【畔上】どうすれば全社を巻き込んで開催できるかと話していた矢先、菊池さんの異動が決まったんです。その後は現場と本社の両方から、実現の案を出し合いました。「地域共生」は中長期で目指す全社的なテーマとなっていたこともあり、積極的に動き出しました。
最初に検討したのはスケジュールの調整です。子どもたちの夏休み期間中の開催を目指していたためそこから逆算し、各施設の販売促進担当やショップへの声掛けとイベント開催に向けての準備を進めましたが、いきなり壁にぶつかりました。

数字で語れない愛着の重要性。
見えないゴールへの不安。

【畔上】最初の壁は、社内の賛同を得ることでした。おしごと体験イベントは、施設に対する親近感や愛着を持っていただくための未来につながる施策ですが、施設やショップの短期的な売上を直接アップさせる施策ではないため、「コロナ禍の今、行うべき施策なのか」という声もありました。
追い打ちをかけるように次の壁にぶつかります。施設ごとのコンセプトの違いです。当社は立地や用途、その土地に暮らすお客さまに合わせ、施設ごとにオリジナルのコンセプトを持ち、それぞれに合った販売促進やイベント実施、運営ルールを定めてきました。だからこそ全社横断の施策実施となると、これらの違いを踏まえて施策を水平展開する必要がありました。さらに、本厚木ミロード以外の施設にとって『おしごと体験イベント』は未知のイベントであり、この点も私たちにとって大きな障壁でした。初めてのイベントは広報や安全対策など、各施設への負担も大きいためです。
このように、『おしごと体験イベント』は複数の乗り越えるべき壁を抱えてスタートしました。

【菊池】当時は勢いと熱量で膨大なタスクをクリアしていきましたが、振り返るとやはり高いハードルでしたね。畔上さんも私も、商業施設で販売促進を経験していたことが救いでした。現場経験があったおかげで、現場がどの観点でストレスを感じ、どう行動すれば一緒に動いていただけるかをイメージできました。とはいいながら、イベント当日まで、どういう流れでお子さまを受け入れ、楽しんで帰っていただけるのか、未知数な部分もありました。販売促進担当だけではなく、営業担当を巻き込み、ショップのみなさんとお子さまを受け入れる準備を最後の最後まで行い迎えた当日。あの日の緊張は、今でも覚えています。

未来につながるファンの獲得。
地域共生から広がる商業施設の可能性。

【畔上】イベント当日は大盛況でしたね。本社勤務になり、お客さまの顔を直接見ることが少なくなっていたのもあって、お客さまが笑顔で楽しんでいる姿を見ることができて本当に嬉しかった。お客さまや子どもたちだけでなく、ショップのみなさんや当社のそれぞれの施設の販売促進担当も楽しんで参加してもらえたことも嬉しかったです。開催後は、「一生の思い出になりました!」というお客さまの声、「ショップと一緒にこんなに楽しくお客さまを迎えられた施策は初めてです。」という社内の声など、社内外からのありがたい声をいただけて、やりきってよかったと、心から思いました。

【菊池】私も当日、ショップスタッフやお客さまの笑顔を見て、何度か涙をこらえました。本社にいた時から考えると約8ヶ月、本社と現場の両面から関わり、一つの目標を追いかけやり遂げられた。初施策の全社集約を引き継いでくれた畔上さんには感謝しています。主役である子どもたちをはじめ、お客さま、ショップ、各施設の販売促進担当と、参加者全員が喜んでくれたことが何よりも感動でした。参加してくださった子どもたちからも、「こんな仕事があると知りませんでした。」「今度はお客さまとして行きたいです!」など、お手紙をいただけたことは嬉しかったですよね。

【畔上】そうですね。一方で、実際のイベント振り返ってみると運営面には課題もありました。分かりやすく魅力ある内容・方法で募集すること、難しい仕事内容を子どもたちに飽きずに楽しんでいただくことなど、課題を改善したうえで、街や子どもたちとの関わり方を考え続け、地域の人々とともに私たち自身も成長することが、地域共生につながると思っています。今回成功した「おしごと体験イベント」は、その意味でも地域共生施策のスタートですね。

【菊池】伸びしろはまだまだありますね。賛同を得られた企業から協賛をいただいたり、地域に根差す企業に協力をあおぎ、そのお仕事を体験メニューに追加するなど、新しい試みができると施策がボリュームアップし、お客さまの満足度も上がりそうです。さらにここから、地域共生の輪を広げていきましょう!

【畔上】街全体を巻き込んだ動きにつなげていければ、もっと多くの方々に楽しんでいただけそうですね。各施設が今も取り組んでいるように、地域の学校や幼稚園・保育園と協業するなど、他の視点でもまだまだできることは多いと思うので、良質な体験で当社に愛着を持っていただけるようなプラスアルファの施策を一緒に考えていきましょう!

※所属・役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです。